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映る人の表情までつくる —— ビデオグラファー鳥越万紀雄さんの仕事術

By ゾエ(川添志穂)

鳥越万紀雄さん

インタビューを動画で見る方はこちら

「どれだけカメラの性能がよくても、撮られる側のコンディションが整っていなければ、いい映像にはならないんですよね」

そう語ってくれたのは、映像制作を企画から編集まで一貫して手がけるビデオグラファー、鳥越 万紀雄(とりごえ まきお)さん。企業のインタビュー動画やブランディングムービー、社内用動画など、さまざまな映像を手がけています。

弊社が動画事業に力を入れると決めてから、一番最初にパートナークリエイターになっていただいたのが鳥越さん。YouTubeで出会いこちらからお声がけしたのがきっかけです。社内動画はもちろんクライアント様向けに動画を一緒に作ってきました。

今回鳥越さんにインタビューしてきましたので、これまでの歩みや制作のこだわりについてご紹介します。

映像をまるごと手がける「ビデオグラファー」というスタイル

鳥越万紀雄さん

ー【ゾエ】鳥越さんはご自身のことを「ビデオグラファー」とおっしゃっていますが、これはどういった仕事を指すのでしょうか?

映像制作って、本来はプロデューサーさんがいて、ディレクターさんがいて、カメラマンがいて、編集マンがいて…っていう風に、すごく分かれてたものでした。機材の進化もあって、それらをまるっと一人でできるのがビデオグラファーです。企画、撮影、編集を一貫してやってる感じですね。

もちろんその中でも、撮影だけ編集だけといった部分的なご依頼もあります。逆に、自分が企画して規模が大きいからカメラマンは別の人に依頼して、自分は監督をやることもあります。

企画に関しては、いわゆる脚本も考えることもありますし、たとえば企業さんのブランディング動画の企画から対応しています。担当の方や社長さんとお話をして、「こういうメッセージですよね」と形作っていきます。もちろん、そこにマーケティングの方が入って土台をつくることもありますし、ある程度コンセプトが決まっていることもあります。

撮影から納品まで5日間!驚きのクオリティーだった社員表彰動画

ー【ゾエ】毎年社内で作っていた社員表彰動画を急遽鳥越さんに作っていただけることになって。社員総会まで日がなく撮影から納品まで5日間という短納期でしたね(申し訳なかったです)。なのにクオリティーが高い映像に仕上がって衝撃を受けました。どうやって作っていったんですか?

今回、短期間で最大限撮れるもので作ったという感じです。
何を撮るかはヒアリングしてから脳内にイメージができてきました。今年体調を崩されたという話を伺ったので、「それっていじっていいんですか?」と聞いて、「全然いいですよ」とのことだったのでそれをフックに映像を作っていきました。


社内表彰動画
社内表彰動画

社外向けから社内まで。多岐にわたる企業向け映像制作

ー【ゾエ】企業向けにどんな映像を作られてるんですか?

本当に色々あります。

  • 採用動画
  • ブランディング動画
  • Webサイトに載せるPR動画
  • 社長インタビュー動画
  • 取締役の対談動画
  • 社員インタビュー動画
  • 社内総会用のオープニング動画や表彰動画
  • SNS用の動画
  • インサート用の動画

わりとなんでもやりますね。ブランディングとかPRとか、そういう目的がはっきりしてる動画のご依頼が多いかもしれないですね。

代表作ピザハットのWebドラマ制作の裏側

ー【ゾエ】印象に残っている映像作品はありますか?

クライアントさんの大きさでいくと、ピザハットさんのWebドラマが一番印象に残っています。代表作かなと思ってます。

競合他社さんと違うっていうのを伝えたい、という思いが担当者の方にあって。そこをいかに表現するかを一番意識しました。まず違いを理解しなきゃいけないので、話を聞きましたし、競合のクリエイティブも見ました。競合はこういうのをやっている、でもピザハットさんは違うよね、というコミュニケーションを取りながら進めていきました。

ー【ゾエ】一番大変だったことはなんですか?

撮影スケジュールがかなりハードでしたね。
スケジュールは誰かに言われてるわけじゃなくて自分で全部決めてるので自分の責任なんですが。
ホームページ用の動画は前日に撮っていて、夜に店舗の近くまで移動してインサートカットを撮って。従業員の方にも協力していただいて、店舗の内観を撮ったり。打ち合わせが終わったのが夜12時くらいで、次の日は朝3時集合なのでほぼ仮眠しかとれず。そもそも気になることが多すぎて、頭がぐるぐる回っちゃって、結局寝られないんですよ(笑)大変ではありましたが、今でも担当の方とは仲良くさせていただいているほど思い出深い作品です。

映る人の表情までつくる責任がある

鳥越さんインタビュー

ー【ゾエ】撮影の際に意識していることはなんですか?

映像を撮るときって、どんな顔でカメラの前に立ってもらうかってすごく大事だと思っています。
その人の緊張がほぐれてるのか、楽しんでるのか、それが画にも出るんですよね。
だから「こういう雰囲気にしたい」っていうのを考えたら、照明やセリフだけじゃなくて、現場の空気感とか話し方とか、そういうのも全部含めてつくるようにしています。だからカメラマンってサービス業だと思っています。

映像技術はすべて独学で身につけた

鳥越さんインタビュー

ー【ゾエ】そもそもどうやって映像のスキルを身につけたんですか?

ほぼ独学です。一応編集を習っていたことはあるんですけど、撮り方とかは完全に独学ですね。
自分の性格的に実際に作るのが好きで、逆に座学で体系立てて勉強するっていうのがあまり得意じゃなくて。作っていく中で「これってどうやるんだろう?」って考えて、調べて、やってみて覚える、ということをやってきました。

制作会社にいたこともないので、むしろ分業するやり方を知らなくて。自然と全部一貫して自分でやるようになりました。

ー【ゾエ】動画作られる方ってもっと無骨なイメージだったんですが、鳥越さんからは柔らかさを感じたのはそれが理由かもしれませんね。

ミュージシャンからクリエイターへ転身

鳥越さんインタビュー

ー【ゾエ】もともとカメラがお好きだったんですか?

いや、そういうわけでもなくて。カメラを触り始めたのはコロナちょっと前ぐらいですかね。大学生の頃からずっとバンドやってて、「ミュージシャンとしてやっていくぞ」って思って東京に出てきたんです。最初は自分のバンドのライブ映像を記録したいぐらいの感じでカメラを買って、それがきっかけでした。

MVを実際に作ってみたんですけど、けっこう良かったんです。もちろん今見ると荒いところはあるんですけど、アイデアとかは面白いし、この経験で「楽しいな、自分にも作れるかも」って思ったのが大きかったですね。

そのあともしばらくは趣味みたいな感じでやってたんですけど、だんだん「撮れるなら撮ってよ」って言われるようになって。音楽仲間とかからお小遣いをもらいながら作って、そこから紹介が増えていって徐々に今みたいな形になっていきました。

shannons

鳥越さんが所属するバンド shannonsのチャンネル

YouTubeとコミュニティの発信活動

鳥越さんYouTube

鳥越さんYouTubeチャンネル「まきおfilm

ー【ゾエ】YouTubeは営業ツールとして始めたんですか?

それもありますね。YouTubeは、ちょうど本業の仕事を辞めるかどうかぐらいのタイミングで始めました。クライアントワークで収益を得ている人間なので、忙しくなるとYouTubeの更新が後回しになっちゃって。出してない時期もあるんですけど、最近になって少しずつ反響とか影響力がついてきた感じはありますね。

メンバーシップ(有料コミュニティ)を去年始めたんですが、そこで「こういう人たちが見てくれてるんだ」っていうのが可視化されたのも大きくて。やっぱりクリエイターって孤独な戦いをしてるなって思うことがあって、仲間がほしいなって思ったんです。たぶん僕が思ってるってことは、他の人たちもそう思ってるだろうなと。

やってみたら、そんなに大きなコミュニティではないんですけど、すごいベテランの方も入ってくれていて。「フリーになってから15年以上やってます」とか、「フィルム時代からやってます」みたいな。コミュニティーのこだわりとしては、「仕事もらう側」「仕事あげる側」のような上下関係ができるのがあまり好きじゃなくて、最初から「利害関係なしです」っていう形で始めました。

ビデオグラファーを定着させたい

鳥越さんインタビュー

ー【ゾエ】どういう未来を目指して発信されているんですか?

ビデオグラファーってまだ世の中に知られていないんですが、定着させたいなと思っています。
企業さんとクリエイターが直接やりとりするシーンってまだそんなに日本にはないと思っています。双方にとって良いものだよ、と伝えるのを自分の発信活動の軸にしたいなと考えています。

一貫して映像を作ればもっと「想い」が反映できる

鳥越さんインタビュー

ー【ゾエ】制作会社との違いって、どこにあると思いますか?

撮ってる人、もしくは現場にいる人が編集もやるって、けっこう大事だと思っています。素材の空気感を知らずに編集するより、実際に話を聞いた自分が撮って編集する方がいい映像になると思うんですよね。

ただピザハットさんのような大規模プロジェクトだと、ある程度は制作会社的な体制になります。もちろん一貫制作には限界はあります。

ただ、たとえば自分が制作会社さんからカメラマンだけ切り出してお願いしますって紹介されるような関係性より、直接クライアントさんと話して、お客さんの顔が見える状態でいたいっていうのはありますね。その方がどういう想いでつくりたいのか聞けますし、自分の提案もしやすいし、いいものがつくれる気がしてます。

制作会社に頼めばクオリティーが上がるとは限らない

ー【ゾエ】企業さんって、やっぱり制作会社さんに依頼することが多い印象です。一貫してやってくれる方のほうがよさそうなのに。何でなんですかね。

そうですね。たぶん安心を買ってるんだと思います。
「もしミスが起きたら?」とか「納品が間に合わなかったらどうする?」とか、そういうリスクに備えて、会社対会社で契約しておいた方が安全だと思ってるのかなっていう印象があります。担当者の方にとっても安いところに発注して失敗して怒られるのは嫌でしょうし。
でもその分、融通が利きにくかったり、コミュニケーションが間接的になったりする部分もあるのも確かです。

ー【ゾエ】制作会社に高いお金払ってお願いしても、そこまでクオリティーの高いものは出てこない気がしています。

正直言ってしまうと、いわゆる企業の動画は、制作会社の方が格段にクオリティーが高くなるということはないと思います。インタビュー動画とか対談動画とか。

あとクライアントワークで企画から管理含めて全部できる人がそもそも少ないというのもあります。私が知っている中でも両手で数えられるくらい。意外と人材がいないんです。

良い映像を作るために企業からもっと情報がほしい

ー【ゾエ】「こういうのがあったらもっと良い映像撮れるのにな」と企業に思っていることはありますか?

企業さんの情報ですかね。やっぱりコミュニケーションして情報をいただかないと、映像でどういう表現が必要かというのがわからないので。情報をたくさんいただけるとうれしいです。「こういう動画にしたい」まではなくてもいいので、「こういう思いがあって、こういうことを伝えたくて」というものを明確に言っていただきたいです。そういうのをいただくと映像を考えやすいですね。

鳥越さんインタビュー

あとがき

ビデオグラファーの鳥越さんは、クオリティーの高い映像を作ってくださるのはもちろん、守備範囲が広いので何でも相談できるというのがすごく心強いです。「この音楽使いたい」とか「笑いをとりたい」といった要望にも笑顔で答えてくれて一緒にどう落とし込むか考えてくれます。鳥越さんの前向きで、謙虚だけど積極的な姿勢も色んな方に支持される要素なのかなと思います。これからも末永く一緒に映像制作をやっていきたいです!

最後に鳥越さんが仰っていた「企業のこういうことを伝えたいという情報がほしい」という点。いろんな企業様のコンテンツマーケティングをご支援してきた立場で言うと、その「伝えたい情報」を整理できてないケースが多いのかなと思います。さらにいうと、自分が伝えたい情報が潜在顧客から求められているものとは限らないですよね。本当に訴求力の高い映像にするために、最初の戦略部分をCreators ARCでお手伝いできたらいいなと思っています。


鳥越さんに直接コンタクトをとりたい方は以下からどうぞ。

鳥越さん公式ページ https://kinokoinc.com
鳥越さんYouTube(まきおfilm) https://www.youtube.com/@makio.kinopro

マーケティングに関してもまるっと相談したい方はCreators ARCまでお問い合わせください。
お問い合わせはこちら>

鳥越さんと制作した映像についてはこちら

制作の裏側:鳥越さんインタビュー>

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